ショウ・タイム 6
【第一報告書】
17:58 以下時系列に列挙 ・任務…要領よく各所確認。
・口喧嘩多し。
◎特記事項として会話内容をそのまま以下に報告。
奈良シカマル「あんた、今夜は長いって知ってるよな」
テマリ
「泣き虫君に何ができるのかね」
・地下2階の隠し通路発見するが、不慮の事故で落下。トリモチに引っかかる。
・札の多くは撤去。1枚発動…テマリ。
・寒さと汚れのために温泉に向かう意志あり。
【所感】
●奈良シカマル…疲れ気味。任務を面倒くさがっている。
●テマリ…凡ミスにより意気消沈。幻術により多少のダメージあり。

「やるな、トリモチ。」

「…これはこれは。」

「ほらあ、正解じゃないっすか。」

「あいつら…想像以上に直球なボケをしでかすやつらだな。」

「ていうか、この若々しい台詞は何。」

「丁々発止とした愛情表現じゃないかねえ。」

「本人たちがどういう自覚で言っているのか予想できんのだ…聡いんだか鈍いんだか。」

「それにしても…色々絵面で見てみたいね。」

「あるぞ。」

「カメラ持たしてるんですか?」

「ああ、証拠写真もいるだろう?まあ、遠目から隠し撮りだからあまり期待はできないが。」
《写真1》

「おおお!」

「後ろから抱き付こうとしてるんじゃないか。」

「や、首絞めてないか。」

「大方、テマリさんにからかわれているんでしょう…。」

「シカマル君が硬直してるっぽいですしね。」
《写真2》

「…見事に二人とも落ちてますね。」

「ぬるぬるっといってますね。」

「…うける!」

「ああ、もう少し明るくて、近ければ表情がわかるのに。」

「今度からは、赤外線センサーがある高性能なやつの購入を検討しよう」
《写真3》

「この3枚目は何?殴りかかってますよ。」

「シカマルがセクハラでもしたんじゃない。」

「シカマル君はあまりそういうことはしないと思いますが…。」

「理性が切れたらわからんぜ。男はみんな狼さー。」

「でもこの様子は…テマリさんは本気ですよ。」

「これはテマリが幻術食らっているんだろ。あの娘、他の能力は秀でているのに、幻術系の
弱さが顕著だからな。」

「よし、第一の情報はこれで全部だ。」

「やべえ、読めなくなってきた…。」

「どう転ぶかわからないねえ。」

「ではそろそろこのクライマックスの時間に突入する前に、本題にうつろう。まずスケジュール
の再確認だが温泉はかなり高い確率で行くみたいだな。そして、今晩の宿泊施設、第81演
習場の管理棟について…サクラ、サイは知らないだろうから、管理棟の間取りについて説明
する。イズモ頼む」

「ええと、1階には管理室と演習備品置き場があります。あと、水周り、簡易キッチンも一階の
増設した離れ部分にありますね。そして2階が会議室、仮眠室、清掃用具などの倉庫になっ
ています。」

「二人ともチームでの野宿やらで異性との外泊は何度も経験あるだろう。だからちょっと小細
工をした。『冬山で遭難』に近いシチュエーションになるように手を加えたからな…本当は山
小屋とかがベストだったんだけどねえ。あそこらは冷え込むから、本気で凍傷なんぞになら
れても困るからな。」

「ベタですね。」

「…で、何を細工したんですか?」

「設備・備品についてですが…電気・ガスは22時に強制消灯になるようになっています。22
時を過ぎると、使えるのは水道と常時点灯している非常誘導灯、あとかろうじて仮眠室に移
動させてある石油ストーブだけです。あと、一番重要な仮眠室は和室です。仮眠室には毛布
は…5枚あったのを撤去したので1枚しかありません。」

「そこまでするんだ…。」

「ばっちり布団一組だけ敷いておくのも面白かったんだけどな。」

「そこまでやるとドン引きでしょう。」

「ちなみに、お二人にお渡しした荷物には、多少の食材と防寒対策として、カイロ。マント。
サバイバル用として蝋燭、懐中電灯、自家発電できるライトが入ってます。」

「あと、荷物にブランデーをいれてある。本気で寒ければ飲んでるだろう。酒が入れば、あのフ
ェミニストもちょっとは積極的になるんじゃないのかね。」

「もうめちゃくちゃですね。」

「…さて。では、お待ちかねのオッズ表を公開するぞ。」
火影杯! × 予想レース |
|
結果予測内容 |
オッズ |
い |
最後まで |
×10 |
ろ |
寸止めまで |
×8 |
は |
接吻まで |
×5 |
に |
抱擁まで |
×2 |
ほ |
何もなし |
×3 |
※1 掛け金は基本給与の5%を1口とする。 ※2
上忍(特別上忍含む)以上については、3口以上より参加可能。 ※3 負け分については、全額翌月給与より天引き。 ※4
勝ちの配当については、翌々月給与にて特別手当として付与。 ※5
掛け金総額から配当金を差し引いた余剰金については、災害地への寄付金とする。 |

「なんか言い回しが古風じゃないですか。」

「…なんだと、コラ。」

「えっと…未成年に『い』やらはマズイんじゃないですか?」

「馬鹿者。二人とも収入のある自立した忍だぞ?…それに、いざという時ゃ本人に腹くくらせ
て責任とらさせる。肝心なところでヘマした阿呆が悪い。」

「ひど…」

「もしもの事態ときは、上忍班長直々謝罪に行かせるからな…多少の人件費は問題ない。親
父の力量の見せ所だ。上手くいけば、上忍1名&風の性質の子供が木ノ葉の一員になる
ぞ…すばらしいじゃないか。」

「手にいれる気だ…。」

「寸止めって何ですか。」

「!」

「具体的な定義がないですねえ。線引きをしっかりしとかないと…。」

「流石、あいつのエロ本常備しているだけあるな。そんなもん、やってないところまでだよ。微
妙な状況に関してはその報告内容を審議する。」

「微妙な状況?」

「お前はもう黙れ。」

「あと…あの色々この条件列挙の部分が気になるんですが…。」

「あ、お前はもちろん暗部とはいえ隊長だからな。この上忍条件は適応だ。」

「…ええ?」

「中忍バンザイ!」

「サイ、お前はサクラと一緒でいい。」

「…ありがとうございます、といえばいいのでしょうか。」

「ま、参加しているところでもうどうしようもないよね。」

「ところで、僕はあまり二人のことを知らないんですけれど。もう少し情報が欲しいです。」

「そうだな…何かあるか、サクラ。同期としてはお前とナルトが二人のことは知っているだろ
う?」

「知ってるって…本人たちから何か聞いたことはないですけれども。えっと、二人が町を一緒
に歩いているのは何度か見ました。」

「そうなんだ?けっこうそういうことあるの?」

「オレたちも何度か見てますよ。まあ、中忍試験あたりですけれども」

「ああ、私が指示だしているからな。とりあえず見送り、お迎え、作業関連は可能なかぎりセッ
トで行動させた。」

「さすが力ある…。」

「一度、朝早く見送っていたときは怪しかったですけどねえ。」

「そこんとこ詳しく!」

「なんか…大門ところでぼそぼそしてましたね。次に会えるのはいつだとか。早く昇進しろと
か。」

「本当に!?」

「それは…本当だったら…アリだよね。」

「そういえば、一度ナルトと一緒のときに2人に出くわして。ナルトがあまり考えずにデートか、
って聞いたこともありました。」

「さすが、そこらへんの機微に疎いやつだな。直球すぎる」

「…すみませんね。」

「ん?」

「カカシさん、アスマさんたちに付き合っていると知らないで同じこと聞いたことがあるんで
すよね。」

「ま、紅には思いっきり否定されたけど。で、ナルトに二人は何て返したの?」

「ええと、テマリさんは中忍試験の仕事だからって。シカマルは、案内係だから砂の使者を送
ってるだけだって。さらっと否定していました。」

「…なるほど。」

「散々うわさだけ撒いておいて毎度綺麗にはぐらかす。煮え切らない2人に火影自ら引導を渡
してやるのさ。」

「それにしては、強引すぎませんかね?テマリ君はとんだ犠牲なんじゃ…。」

「大丈夫だ、テマリはシカマルよりも総合的な忍術は強いからな。ついでにあの頭の固いフェ
ミニストは力の差を思い知ればいい。鍛錬にも力が入るだろう。いつものちょこざいな影技ぐ
らいじゃあ、無理だね。」

「綱手さま、シカマルに徹底的に厳しいですよね。」

「…期待してるんですよ。シカマル君に。」

「失敗しようが成功しようがお互いの成長につながるからな。さらには寄付金としての災害事
業、福祉事業でもある。だから、どう転んでも里のためになるシステムにしたっていっただろ
う?時間をかけてシカマルの任務の調整をして、前もってテマリのスケジュールも確保して
おいたんだぞ。」

「尊い犠牲というのは2人だけじゃなくて、参加者全員だったんですね。」

「勝てば得られるものはでかいと言っただろう?次の報告は中間報告としての22時、最終
報告は朝の8時だからな。さあ、どーんと張った!」
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